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静岡地方裁判所沼津支部 昭和48年(ワ)302号 判決 1977年3月31日

原告

山田成年

被告

山口政夫

ほか一名

主文

被告山口政夫及び同小坂博は原告に対し各自金一七〇〇万円及びうち金一六〇〇万円に対する昭和四七年五月二二日から支払ずみまで年五分の金員を支払うべし。

原告の被告山口政夫、同小坂博に対するその余の請求を棄却する。

訴訟費用は被告山口政夫及び同小坂博の連帯負担とする。

この判決は第一項にかぎり仮りに執行することができる。

事実

(原告)

原告訴訟代理人は、「被告らは原告に対し各自金二五八九万六六七一円及びうち金一九八四万六六七一円に対する昭和四七年五月二二日から支払ずみまで年五分の金員を支払うべし、訴訟費用は被告らの負担とする。」との判決並びに仮執行の宣言を求め、請求の原因として次のように述べた。

一  原告は昭和四七年五月二一日午前一一時四五分頃単車を運転して市道熱海駅足川線と国道一三五号線が交差する国立熱海病院前の熱海市春日町一四番三六号地先の三差路に南方から北方に向け進行して来た際被告山口が所有し運転する普通自動車に衝突されて転倒し、右下腿開放性盤骨折、左骨盤骨折、陰のう切創の傷害を受けた。

二  原告は右事故による受傷後直ちに同日午前一二時頃被告小坂の開設した小坂診療所に入院し、当日担当の中山一誠医師により右下腿開放性骨折の消毒、縫合の治療を受け、翌二二日午前一〇時頃厚生年金湯河原整形外科病院に転医したが、同病院において右下腿縫合部にガスえそが発見され、全身状態の急速な悪化のため右大腿部を膝上から切断するの止むなきに至り、漸くにして一命を取止めることができた。

右大腿切断に至つたのは、中山医師の医療上の過失によるものである。

すなわち、ガスえそ病原菌は主として土壌中に存在し、道路上の土砂にも存在するが、いわゆる嫌気性菌であり、感染局所の酸素欠乏、外気からの遮断と血行障害による組織酸化作用の減弱又は消失した個所に繁殖するが、本件事故のあつた場所は埃の多い道路であり、かつ原告の受傷は右下腿の開放性骨折であつて組織が高度に挫滅し、血行障害がみられたのであるから、当然ガスえそ発病のおそれが多分にあつたのである。従つて、最初に原告の受傷の治療に当つた中山医師としては、受傷の創縁切除後挫滅壊死組織を広く切除し、創の完全な洗浄を行い、創を開放に処置するかドレナージを施し、抗生物質を投与するのが通常医療上の常識である。

ところが、中山医師は原告が昭和四七年五月二一日午前一二時三〇分頃の入院時右下腿骨折部に激痛を訴えたところ、これに痛み止めの注射を打ち、骨折部のレントゲン撮影、薬液を浸したガーゼを傷口にあてて拭くという消毒をし、傷口の完全な縫合をする処置をした。原告は右下腿骨折部縫合後骨折部を中心に非常に膨隆した腫脹を生じ右足全体に拡がり、同日午後三時過頃呼吸促迫し、午後四時頃には嘔吐もあり、顔貌蒼白であつたが、同医師は同日午後三時過他の入院患者の回診に来た際遠くから原告に声をかけただけで、以後原告を診察しなかつた。ただ、同日午後七時過頃看護婦が右下腿骨折部の包帯交換をし、翌日までに看護婦が四回位原告の様子を見に来ている。

中山医師はかように原告の右創の壊死部分の除去、創の完全な洗浄を行わず、剰え創を密封縫合してしまつたのであるから、ガスえそ予防措置を全く怠つたものであり、外科治療に当る医師としては重大な過失がある。しかも、頻繁に原告を臨床観察すれば、脈搏の急上昇その他の全身状態の悪化、右下腿骨折部の壊死腫脹部分の拡大なる症状に注意を払い、さらにX線撮影を行えば、原告のガスえそ罹患を早期に発見し得て大腿切断という事態にまで至らなかつたと思われるのに、中山医師がそのような処置をとらなかつたことはすでに述べたとおりであり、翌二二日午前九時頃原告を診察した被告小坂も右脈搏の急上昇、その他全身状態の悪化を看過したのである。従つて、この点においても中山医師に医療上の過失があることは明白である。

しかして、被告小坂は中山医師を自己の医療業務のため使用していた者で、中山医師は被告小坂の業務に従事中右の過失を犯したものである。

三  右のようにアスフアルト道路にもガスえそ病原菌が存在し、交通事故による被害者が開放性骨折のような傷害を受け、右病原菌によつてガスえそに罹患し生命を失い或いは感染部位切断等の事態を生ずべきことは十分予見し得るところである。

原告は被告山口のため本件事故により右下腿開放性骨折等の傷害を受け、ガスえそ病原菌に感染し、かつ右受傷の治療に当つた中山医師の医療上の過失により右大腿切断を余儀なくされたものであるから、右は被告山口と中山医師との共同不法行為である。従つて、被告山口は本件自動車の保有者として自動車損害賠償法第三条により、被告小坂は中山医師を自己の医療業務のため使用していた使用者としていずれも原告が本件事故による受傷、さらに右大腿部切断により蒙つた損害を賠償すべき責任がある。

原告の蒙つた損害は次のとおりである。

1  治療費 金七八万三四二〇円

2  休業損害 金七四万三四〇〇円

原告は本件事故当時一ケ月金四万一三〇〇円の賃金を得ていたところ、本件事故による受傷のため昭和四七年五月二一日入院、同年一二月二〇日退院したが、昭和四八年一一月二〇日一八ケ月間就業することができず、その間の賃金合計金七四万三四〇〇円の得べかりし利益を失つた。

3  労働能力喪失による損害 金一六〇一万七二七一円

原告は事故当時国際興業株式会社熱海ホテルに勤務していたが、重要な機能を営む右足を失いその職に就くことができなくなつた。原告は労働の武器を奪われたに等しく労働能力の少くとも七〇パーセントを喪失した。

原告は昭和二七年一一月一〇日生の就業可能となつた昭和四八年一一月二〇日当時満二一歳であつたが、昭和四八年度における賃金センサスによれば二〇歳から二四歳までの男子の年間収入は金九七万二三〇〇円であり、なお満六七歳まで四六年間稼働し得た筈であるから、本件事故により喪失したこととなるその間の得べかりし利益の七〇%をホフマン式計算法により算出すると、その額は金一六〇一万七二七一円となる。

4  慰藉料 金六五〇万円

原告は本件受傷により長期にわたり入院、通院治療を受け、多大の肉体的苦痛に加え右大腿部切断により医し難い衝撃を受け、絶望、苦悩、失意のどん底に陥つた。原告の本件受傷に対する慰藉料は金一五〇万円を下らない。

また、原告は未だ若く将来の希望に燃えていたところ、右足を膝上部分から切断し、生活上多大の不便と苦痛を受け、将来の生活設計も破られ、経済的な見通しもつかず、一生を不具者として苦難の前途を歩まなければならない。将来に対する展望は殆ど失われ、著しい精神的打撃を受けた。原告の後遺障害に対する慰藉料は金五〇〇万円を下らない。

5  弁護士費用 金一〇五万円

被告らは本件事故による損害賠償について全く誠意を示さず、原告は熱海簡易裁判所に損害賠償請求の調停を申立てたが、不調に終り、止むなく原告訴訟代理人に訴訟提起を委任し、報酬として静岡県弁護士会の報酬規定に従い、金一〇五万円の報酬を支払う旨約した。

四  原告は、社会保険から治療費として金七六万七四二〇円の支払を受けたので、これを前項1の損害のうちに充当し、自動車損害賠償責任保険から後遺症補償として金三四三万円の支払を受けたので、これを前項4の後段の慰藉料金五〇〇万円のうちに充当すると、原告が未だ賠償を受けざる損害額は弁護士費用を除き合計金一九八四万六六七一円となる。

五  よつて、被告らに対し弁護士費用を含む金二〇八九万六六七一円及びうち弁護士費用を除く金一九八四万六六七一円に対する事故の翌日である昭和五〇年五月二二日から支払ずみまで民法所定の年五分の遅延損害金の支払を求める。

六  被告山口主張事実のうち、本件事故発生は原告の過失にのみよるものであるとの点は争う。

(被告小坂)

被告小坂訴訟代理人は、「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を求め、答弁として次のように述べた。

一  原告主張の請求原因事実中、原告主張の日時場所において原告が交通事故に遭い傷害を負つたこと、右事故当日の午前一二時頃原告が被告小坂の開設した小坂診療所に入院し、当日同被告の依頼を受けて診療に当つていた中山医師が原告の治療を担当したこと、原告がその主張のように転医したこと及び中山医師において本件事故についてガスえそを含め嫌気性菌による感染症の発症の予見があつたこと、本件につき熱海簡易裁判所に調停が申立てられ、不調となつたこと、原告主張の弁護士報酬が静岡県弁護士会の報酬規定の基準内のものであることは認めるが、その余の事実は争う。

中山医師の原告に対する局所所見は右下腿開放性複雑骨折、陰のう部挫創、恥骨部骨折であり、創の汚染度は強くはなかつたが、前脛骨動脈が切断され、開放性骨折としては極めて重症と考えられ、全身所見としては出血多量及び疼痛のため而シヨツク状態にあつた。

なお、被告小坂は昭和四七年五月二二日午前七時原告を診察したが、この時点でガスえその全身所見は認められなかつた。原告は同日午前七時三〇分中山医師若しくは被告小坂の指示によらずして退院したが、退院時安静を必要とする全身状態であつたにも拘わらず被告小坂方から湯河原町の厚生年金湯河原整形外科病院に転院したのであつて、この転院がその後の症状の悪化の大きな原因となつていることも考えられる。

二  中山医師は原告の入院直後次のような治療処置をした。

(一)  患部のX線写真撮影

(二)  鎮痛剤、止血剤、ビタミン剤、ぶどう糖液、リンゲル投与

(三)  血管確保による点滴

(四)  局所麻酔剤塩酸プロカイン投与

(五)  抗生剤クロロマイセチン一グラム投与

(六)  逆性石けんハイアミンによる外科的清掃術の施行(ブラシによる患部の洗浄により肉眼でみえるかぎりの異物を除去し、挫滅組織を切断したことが主たる内容である)

(七)  切断していた前脛骨動脈の結紮、止血

(八)  定位的の「粗」なる縫合、一部創部ガーゼドレナージ

(九)  副木による固定

右のうち(五)ないし(九)の処置は嫌気性菌による感染症に意を用いてしたものである。中山医師は同日午後三時四五分原告を回診したが、循環不全感染症の所見はなく、鎮痛剤を与えた。さらに、看護婦は退院時までの間頻繁に原告の容態を観察して担当医に報告し、その指示によりガーゼ及び包帯交換、氷のう貼用、止血剤鎮痛剤等の投与を行つている。

従つて、中山医師は原告の右下腿部開放性骨折については外科的清掃術を行い、壊死部分の切除と創の洗浄(完全とは不可能である)を行つているのであるから、医学常識的に最も一般的に行われる感染症の予防処置をとつている。

三  原告は中山医師が右下腿部骨折を縫合したことを過失であるとする。

しかし、ガスえそをはじめとする嫌気性菌による感染症は好気性菌によるそれに比し極めて例が少く、開放創傷の感染症としてまず考えなければならないのは骨髄炎をはじめとする好気性菌による感染症であり、創傷の状況に応じ定位的に「粗」に部分縫合することが適切であり、原告の場合はまさしくそうである。

また開放性骨折にあつてはまず軟部を以て骨露出部を覆うことが必要であり、縫合しないと骨折部の治癒は著しく困難となる。

しかも、原告は道路上において受傷したものであり、局所所見においても創の汚染度は強くなかつたのであるから、その治療については好気性菌による感染症の予防を主とすべきである。

(被告山口)

被告山口訴訟代理人は、「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を求め、答弁及び抗弁として次のように述べた。

一  原告主張の請求原因事実中、原告主張の日時場所において本件事故が惹起し、原告が傷害を負つたこと、原告がその主張の頃被告の開設した小坂診療所に入院し、当日担当の中山医師の治療を受け、翌二二日午前一〇時頃その主張のように転院したこと、中山医師には原告の負傷を治療するについて原告主張のような医療上の過失があり、このため原告がガスえそに罹患し、右大腿部を膝上部分から切断するの止むなきに立ち至つたことは認めるが、その余の事実は争う。

二  被告山口は本件事故当時加害自動車を運転して国道一三五号線を北方小田原市方面から南方熱海市方面に向けて進行して来て事故現場の三差路にさしかかり、約一〇〇メートル前方まで対向車のないことを確認して時速約二〇キロメートルに減速した上信号機の青色の表示に従い前車に続いて熱海駅方向に右折しようとしたところ、原告は前方注視を怠り時速四〇キロメートルの制限速度をはるかに超える高速度で南方から北方小田原市方面に向け本件交差点に突進して来たのであつて、本件交差点に進入する直前右折途中の被告山口運転の加害自動車及び後続の直進せんとする大型トラツクに気づき、被告山口の前をすり抜けようとしてハンドルを左に切つたが間に合わず、右折中の被告山口運転の自動車右前部と衝突するに至つたものであり、被告山口の前後はそれぞれ走行中の自動車がありかつまた突然のことで原告運転の単車を避けることができなかつた。

従つて、本件事故の発生は原告の前方不注視、速度違反の重大な過失によるものであり、被告山口には何らの過失もなかつたのである。

三  仮りに、本件事故について被告山口に過失があつたとしても、ガスえそ病原菌は生息のために数センチメートル以上の深さの土壌を必要とし、アスフアルト道路上にガスえそ病原菌が存在することは稀であるから、本件事故による受傷の際原告がガスえそ病原菌に感染し、大腿部切断のような事態を生ずるものとは通常予見することができない。

さらに、原告の右大腿部切断は原告が主張するように中山医師の医療上の過失によるものであるから、被告山口はこれにつき責任を負ういわれはない。

すなわち、被告山口が惹起した本件事故と原告の右大腿部切断との間の因果関係が肯定されるためには本件事故による受傷が今日の医学水準において一般的に可能とされる治療がなされてもなお右大腿部切断がなされた場合でなければならない。ところが、本件事故による右下腿部開放性骨折のみによつては右大腿部切断に至るものとはいえず、原告が右大腿部切断に至つたのは中山医師の医療上の過失によるものであるから、本件事故と原告の右大腿部切断との間には相当因果関係があるものとはいえない。

仮りに、右因果関係があるとしても、被告山口には右切断による損害の全部の賠償責任を負担せしむべきではなく、中山医師の過失の結果に対する寄与度を勘案すれば、被告山口の結果に対する寄与度は約五パーセントであるから、同被告に対しては右切断による損害のうち五パーセントの限度でこれを同被告の過失と相当因果関係ある損害として賠償責任を負担させるべきである。

なお、原告は職業訓練所において洋服仕立の技術を修得し、現在事故前の収入及びその主張の逸失利益よりも多い一ケ月金八万円の賃金を得ているのであるから、たとえ後遺症による労働能力の喪失があつても財産上の損害はない。〔証拠関係略〕

理由

一  まず、本件交通事故の状況について判断する。

原告が昭和四七年五月二一日午前一一時四五分頃単車を運転していた際市道熱海駅足川線と国道一三五号線とが交差する国立熱海病院前の熱海市春日町一四番三六号地先の交差点において被告山口が所有し運転する普通自動車と衝突し、原告が右下腿開放性骨折、骨盤骨折、陰のう部切創の傷害を負つたこと(但し、被告小坂は右下腿開放性骨折のほか恥骨骨折、陰のう部挫創であつたと主張するが、原告の主張する傷害とは傷害が異る旨を主張するものではないものと考えられる)は全当事者間に争いがない。

そうすると、原則として被告山口は右普通自動車を自己のため運行の用に供していた者であつて、その運行による右事故によつて原告に与えた身体傷害に起因する損害を賠償すべき責任がある。

しかるに、被告山口は本件事故については同被告には過失がなく、原告にのみ過失がある旨を主張する。

原告と被告山口の間で成立に争いがない丙第一号証の六ないし九、証人岩井智子の証言、原告及び被告山口(後記措信しない部分を除く)本人尋問の結果を総合すると、本件事故現場は右認定のように南方伊東市方面から北方小田原市方面に通ずる国道一三五号線と南西方国鉄熱海駅に通ずる市道との三差路になつている通称足川交差点であるが、南方伊東市方面からは有効幅員約一三メートル、左折車線と直進車線及び対向車線の三車線が区分され、交差点附近を頂点としてやや上り坂かつ右カーブとなつており、反対に北方小田原方面からは有効幅員約七・八五メートル、二車線、約一〇〇分の四の上り勾配でかつ左カーブとなつているおり、いずれの方向から本件交差点に接近するも前方約一〇〇メートルの見通しが利くこと、北方小田原方面から本件交差点を経て西南方国鉄熱海駅方面に至る道路沿いの山側は相当高いコンクリート擁壁となつていること、原告は本件事故当時ホンダCB三五〇、四六年式静岡ま一一六一号を運転して南方伊東市方面から本件事故現場の交差点にさしかかりこれを直進しようとしたが、前面の信号機の表示が赤色であつたので、減速しつつさらに右交差点に接近した際、右信号機の表示が赤色から青色に変つたので、時速約四〇キロメートルを超える速度でそのまま直進を続け、交差点を通過しようとしたところ、北方小田原市方面から対向車線を進行して来て熱海駅方面に右折しようとしていた被告山口運転のトヨタパブリカ四五年式相模五五す五七八八号が原告の運転する自動二輪車の通過を待たずに右折するのを発見し、あわてて加速するとともにハンドルを左に切つて被告山口の前面を横切つて衝突を避けようとしたが、避け切れず、自車右側面部に被告山口の右前面フエンダー、バンパー部を以て衝突され、前面のコンクリート擁壁に衝突転倒したこと、他方被告山口は、右普通自動車を運転して北方小田原市方面から本件事故現場の交差点に近づき、熱海駅方面に右折しようとしていたところ、対面する信号機の表示が赤色であつたので、先行車に続いて停止し、右の表示が青色になつて先行車に続き約一一・四メートル離れて右折をはじめたが、南方から国道一三五号線上を直進する原告運転の自動二輪車に全く気づかず、殆んど交差点中央附近に進んではじめて自車前方約四・八メートル余の地点を横切ろうとしている右自動二輪車を発見し、ブレーキをかけるいとまもなく自車右前部を右自動二輪車の右側面部に衝突させて右のようにこれを転倒させたことが認められる。右認定に反する証人山口久司の証言及び被告山口本人尋問の結果は措信することができない。ことに、証人山口久司の証言及び被告山口本人尋問の結果中、本件事故当時前方約一〇〇メートル以内に南方伊東市方面から事故現場の交差点に向い進行して来る対向車はなかつたとする部分は証人岩井智子の証言中に南方伊東市方面から北方小田原市方面に向う車両が多数あつた旨の証言に照らし、たやすく措信することができない。

右認定の事実によつて考えるに、本件事故現場の道路において被告山口は南方伊東市方面から北方小田原市方面に向け対向して進行して来る原告運転の自動二輪車を少くとも同車が本件交差点に進入する以前に発見することができた筈であり、しかも、本件交差点を直進通過しようとする原告としては通常どおり被告山口運転の普通自動車が原告運転の自動二輪車の通過を待つてくれるものと信じたとしても洵洵無理からぬことであるというべく、従つて、本件事故は被告山口が本件交差点を右折するに際し前方注視を怠り、対向直進車である原告運転の自動二輪車を見通しその発見が遅れたがために惹起されたものであつて、主として同被告の過失によるものといわなければならない。もつとも、同被告は先行車に続いて右折をはじめたものであつて、原告がなお一層被告山口運転の普通自動車の動静に注意を払うとき先行右折車の通過した後約一一・四メートル離れて追随する被告山口運転の普通自動車がそのまま右折を続けることを知り得たものと考えられるから、この意味において原告にも本件事故発生について幾分かの過失があることは否定し得ざるものであり、後に損害賠償額を定めるに当つてこの点を斟酌することとする。

二  次に、原告の負つた傷害に対する医療上の過失の有無について検討する。

原告が本件事故による受傷後当日(昭和四七年五月二一日)午前一二時頃被告小坂の開設した小坂診療所に入院し、当日同被告の依頼により診療に当つていた中山一誠医師の治療を受けたこと、原告が翌二二日午前一〇時頃厚生年金湯河原整形外科病院に転院し、同病院において右大腿部を膝上ほぼ中央部から切断したことは全当事者間に争いがない。

しかして、原告が本件事故による受傷のうち右下腿開放性骨折の部位がガスえそに感染したことは原告と被告山口との間では争いがないが、被告小坂は右のようにガスえそに罹患したことを争うのである。全当事者間に成立に争いのない甲第二ないし同第四号証、原告と被告小坂との間で成立に争いのない乙第一、第二号証、昭和四七年五月二二日午前中原告の右脚を撮影したレントゲン写真であることが原告と被告小坂との間で争いのない同第四号証の六、証人中村千行、山田勇吉の証言をあわせ考えると、原告は本件受傷後約一〇時間を経過した昭和四七年五月二一日午後九時三〇分頃から右下腿開放性骨折の部位に激痛があり、嘔吐を覚え、翌二二日午前七時三〇分頃には激痛が自制できぬまでになつたのに加え、右下肢の痺れ、チアノーゼを生ずるに至つたこと、同日午前一〇時頃湯河原整形外科病院の中村千行医師が診察した際、原告は全身状態が著しく悪く、脈搏が微弱でかつ早く顔貌が蒼白であつて元気がなかつたこと、さらに縫合してあつた右下腿部には非常に強い腫脹と変色、自動不能と麻痺を呈し、縫合糸を抜くとガスの発生があり、かつ組織の壊死が進んでいたこと、さらに一時間余を経過するうちに腫脹及び筋肉の変色が右膝上部へと上り、皮下気腫も存在していたこと、同病院の中村千行医師のみならず立岩邦彦医師もまたレントゲン写真及び顕微鏡検査を補助として原告をガスえそに感染しているものと診断したことが認められ、これに前掲丙第一号証の六によれば、原告運転の自動二輪車と被告山口運転の普通自動車が衝突した地点に泥の落下があること及び本件事故現場の交差点一帯には砂塵が存することが認められることをあわせ考えると、原告は本件事故による右下腿開放性骨折の部位からガスえそに感染していたものと認めるのが相当である。

全当事者間に成立に争いのない甲第五、第六号証、原告と被告小坂との間で成立に争いのない乙第五、第六号証の各一、二、証人太田伸一郎の証言をあわせれば、ガスえそはガスえそ病原菌と総称される嫌気性菌の感染によつて起る急性の創傷性感染症であり、その病原菌は主として土壌中、ことに排泄物に汚染された所に多く、従つて土砂の付着による士壌感染が殆んどであり、戦時創傷に発症が多く、平時には少かつたが、近時交通事故及び労働災害の激増とともに平時における発症も増加するものと考えられるものであること、しかして、交通事故などによる開放性骨折の治療に当つて忘れてならぬことは破傷風・ガスえその予防であり、骨折部位の軟組織の汚染度、損傷度を十分観察するのは勿論であるが、骨折部位の徹底的な感染の防止のためにまず第一に行われなければならないのが開放骨折部位の外科的清掃であり、骨折部位の周囲を広く石鹸又は逆性石鹸で滅菌ブラシ或いはスポンジで十分洗い、付着している泥、埃、油等を洗い落し、損傷内部を生理的食塩水で徹底的に洗い、創傷内に存する異物、壊死組織を除去或いは洗流し、次いで不規則若しくは挫滅している創縁を出血するところまで切除し、さらに創内の挫滅組織、壊死組織を丹念に除去切除することが必要であること(いわゆるデブリードマン)、第二に骨折部の整復を行う際には感染の危険という点を考慮し、釘や金属刷子を用いることを避け、創傷の状態を常に監視できるような形でのギブス固定を主にするが、創傷が高度に挫滅している場合、汚染が深部にまで及んでいる場合にはいかに徹底的に清掃が行われ得たと考えても創傷を閉鎖することなく開放性に処置しなければならないこと、また抗生物質の投与をすることも必須であることが明らかである。

そこで、中山医師が本件事故による原告の受傷、なかでも右下腿開放性骨折に対して行つた治療について考えてみる。

全当事者間に成立に争いのない甲第三、第四号証、昭和四七年五月二一日午前一二時頃原告の骨盤部分及び右脚部分を撮影したレントゲン写真であることが原告と被告小坂との間で争いがない乙第三号証の一ないし三、証人中山一誠(後記措信しない部分を除く)、中村千行、山田勇吉の証言、原告及び被告小坂本人尋問の結果を彼此勘案すると、中山医師は昭和四七年五月二一日の事故当日被告小坂の依頼により同被告に代わり小坂診療所における外来患者入院患者の診療に当つていたこと、中山医師は同日午前一二時頃原告が本件事故による受傷により救急車で運び込まれた際、まず相当重傷の右下腿開放性骨折、骨盤骨折があると見、右下腿開放性骨折については挫滅が高度、血管損傷のあることを観察し、右下腿開放性骨折部について二枚のレントゲン写真を撮影し、レントゲン室のその場で消毒液につけたガーゼで創傷の内部を洗い流し、切断していた前脛骨動脈の両方の断端を結紮し、右下腿前面部、後部の創腔を縫合密閉し、金属副本で骨の固定を図り、創傷の周囲をガーゼ・包帯で巻き、鎮痛剤、止血剤、ぶどう糖液、リンゲルの点滴を行い、クロロマイセチンを投与したこと、同医師は同日午後三時四五分頃原告を診察し、原告が吐気、疼痛を訴えたので、看護婦に指示して吐気止めと鎮痛剤を注射し、同日午後七時三〇分頃原告の脈搏が一〇八と多くなつたが、包帯外側にまで出血があるとの看護婦の報告があつたので、創傷周囲のガーゼ、包帯を交換するよう指示し、かつ看護婦から原告が右部位に激痛を訴えるとの報告を聞き、非麻薬性鎮痛剤と麻薬性の鎮痛剤とを取交ぜて打つよう指示し、翌二二日午前七時頃被告小坂に引継ぎをしたことが認められるが、措信することのできない証人中山一誠の証言を除いて他に中山医師が原告の受傷に対する治療に当り以上のほか何らかの処置をし、特別の治療を施したことを認めるに足りる措信すべき証拠はない。中山一誠証人は、原告の問題の受傷部位である右下腿開放骨折について逆性石鹸、オキシフルを用いブラシ及びガーゼで創傷を清掃し、鋏、ピンセツト等を用いて挫滅組織を除去し、創腔をガーゼドレナージにより処置して外界との接触を図りガスえそ病原菌のような嫌気性菌の感染に対する予防措置をとつた旨証言するが、同証人の記載した外来診療録、入院診療録看護記録である甲第三、四号証中には何らその旨の記載がないこと並びに中村千行証人が、同証人が湯河原整形外科病院において問題の原告の受傷部位を緊急切開抜糸した際、当該創傷については完全な縫合がなされており、創腔中にはガーゼトレナージなど外界との接触を保つべき手段はとられていなかつた旨証言していることに照らしたやすく措信することができない。さらに、中山一誠証人は、同証人は右下腿開放骨折の縫合後診療を担当している間血行障害のおそれがあつたので何回か原告の状態を観察したと証言するが、甲第四号証の入院診療録看護記録上中山医師は前示認定のように昭和四七年五月二一日午後三時四五分原告を診察した旨の記載があるだけで他に同医師の指示を受けた旨の記載はあるものの診察をしたとの記載が全くないことからいつてこれまたたやすく措信することができない。

右に述べたところに前掲甲第四号証をあわせ考えれば、中山医師は原告の右下腿開放骨折について外科医として当然なすべき感染防止のための創傷の外科的清掃消毒を十分に尽さなかつたことかつ創傷を開放に処置するか少なくともカーゼドレナージ等により外界との接触を保つように処置すべきであつたのに、これを完全縫合してしまつたこと、さらに入院当日の午後三時四五分頃診察した際に原告が嘔吐を訴え、同日午後七時三〇分頃には問題の部位の激痛に加え脈博が異常に早くなるという症状に留意せずこれを看過したことが明らかであるから、少くとも問題の右下腿開放骨折に対する処置を誤つたものといわれても止むを得ないところといわなければならない。

しかも、証人中村千行の証言によると、本件右下腿開放骨折の場合当初の治療、すなわち徹底した感染の防止さえなされていれば通常の骨折のみにとどまりとても前掲乙第一号証によつて認められるように右大腿部を膝上のほぼ中央部から切断しなければならないような事態に立ち至ることはなく、血管、神経、筋肉の挫滅が相当高度の場合を想定しても膝下離断を以て治療を終えることができたと認められるのであるから、中山医師の本件右下腿開放骨折の治療についての過誤は原告のガスえそ感染=右大腿中央部からの切断との間に相当因果関係があるものというべきである。

被告小坂が当時小坂診療所の開設者として中山医師に対し同診療所における診療を依頼していたこと、換言すれば同医師を使用していたものであることは原告と同被告との間で争いがなく、右認定の事実によると、中山医師の原告に対する診療は同被告の事業の執行としてなされたものであることが明らかであるから、被告小坂は原告が本件右大腿切断によつて蒙つた損害を賠償すべき責任がある。

三  ここで、被告山口の原告に対する損害賠償責任と被告小坂の原告に対する損害賠償責任との関係について一言する。

ガスえそ病原菌が主として土壌中に存在するものであり、従つて土砂の付着によつて感染するものであること、本件交通事故現場には衝突地点に明確に認識される泥の落下があり、附近一帯には砂塵が存在することはすでに説示したとおりであるから、交通事故の加害者たる被告山口においても原告がガスえそに罹患することあるべきは通常予見し得べきことであると考えられる。従つて、原告の右大腿切断という結果については中山医師の治療上の過誤がより直接的な原因をなすものではあるけれども、被告山口と中山医師との行為は客観的に関連共同しており、両者はいわゆる共同不法行為の関係にあるものというべく、被告山口は中山医師(被告小坂)と並んで原告が本件右大腿切断によつて蒙つた損害のすべてを賠償すべき責任があるものといわなければならない。

なお、中山医師の治療上の過誤がなければ、原告は通常の骨折の程度にとどまり右大腿部は勿論のこと右足を失うに至ることもなかつたであろうことは前示のとおりであるから、原告が右大腿を切断するに至つた結果に対する被告山口と中山医師との寄与の度合は被告山口のそれを一、中山医師のそれを三と認めるのが相当である。

四  そこで、原告の蒙つた損害について判断を進める。

1  治療費

原告は、治療費として金七八万三四二〇円を要し、同額の損害を受けたとするが、社会保険から金七六万七四二〇円の支払を受けた旨自認しているので、本訴においてはその残額金一万六〇〇〇円を訴求するものと認められる。しかし、この点については何らの立証もない。

2  休業損害

全当事者間に成立に争いのない甲第九号証及び原告本人尋問の結果によると、原告は本件事故当時国際興業株式会社熱海ホテルに食堂係として勤務し、一ケ月金四万一三〇〇円の賃金を得ていたが、本件事故により昭和四七年五月二一日から同年一二月二〇日まで入院し、その後昭和四八年四月五日厚生年金湯河原整形外科病院の立岩邦彦医師の勧めにより身体障害者専門の職業訓練校に入校し、昭和四九年三月まで一年間洋服仕立職人としての修業をし、その間無収入であつたこと、従つて、その主張のように昭和四八年一一月二〇日まで一八ケ月間において金七四万三四〇〇円の得べかりし利益を失つたことが認められる。

3  労働能力喪失による損害

前記認定の事実及び原告本人尋問の結果によると、本件事故による受傷前原告に五体満足な満一九歳の男子であつたが、右大腿部をほぼ中央部から切断するという結果となり、身体機能上重大な支障を来すに至つたことが認められ、その労働能力喪失の割合は少くとも七〇パーセントであると認めるのが相当である。

しかして、原告本人尋問の結果によると、原告は昭和四九年四月頃から星テーラーなる洋服仕立業者のもとに勤務し、一ケ月金四万五〇〇〇円の、昭和五〇年九月頃から一ケ月金七万三〇〇〇円の賃金収入を得ていることが認められ、被告山口はこの点を捉えて原告には後遺症による労働能力の喪失があつても財産上の損害はないと主張するが、物価の上昇に伴い賃金水準一般が上昇していることは公知の事実である上、原告本人尋問の結果に徴するに、原告は右大腿を中央部から喪失するという身で努力を重ね洋服仕立の技術を身につけつつあるものであり、足踏みミシンを片足でしか踏めず、しやがめないので採寸ができないこと、荷物を持つて歩けず、転ぶことが多く歩行にも重大な支障があること、一人前の洋服仕立職人というには程遠いものであることが認められるから、単に本件事故前より多額の収入を得ていることを以て原告に財産上の損害なしとすることはできず、寧ろ右労働能力の喪失割合に従い将来得べかりし利益を喪失したものと窮めるのがより正鵠を得たものというべきである。

しかるとき、満二一歳の男子の昭和四八年中における平均賃金は一ケ月金七万五四〇〇円、年間の賞与その他の特別給与額は金一八万六九〇〇円であり、従つて年間賃金収入は金一〇九万一七〇〇円であり(賃金センサス第一巻第一表による)、なお満六七歳まで四六年間稼動し得たものと認むべきであるから、その四六年間に右労働能力の喪失によつて失つた得べかりし利益の現在価額をホフマン式計算法により年五分の中間利息を控除して算出すると、その額は金一七九八万四四四七円となり、原告主張の額を超えることが明らかである。そこで、原告の労働能力の喪失による損害を原告主張の範囲において金一六〇一万七二七一円と認めることとする。

4  慰藉料

前掲乙第一、二号証、証人中付千行の証言及び原告本人尋問の結果によると、原告は本件交通事故による受傷の結果昭和四七年五月二一日から同年一二月二〇日まで七ケ月間入院生活を送り、その間ガスえそ罹患のため死の危険にまで瀕したこと、しかして退院後昭和四八年四月三日頃まで通院したが、将来切断した大腿骨が成長することが考えられるが、その際にはこれを削取らなければならないことなどが認められ、これに本件に現われた諸般の事情を参酌すると、原告の本件受傷に対する精神上の苦痛は少くとも金一五〇万円を以てしなければ慰藉され得ないものと認められる。

さらに、上来述べ来つたように原告は本件交通事故の結果右大腿を膝上ほぼ中央部から切断するの止むなきに立ち至つたものであり、未だ満一九歳の身に医し難い甚大な精神的打撃を受けたことは想像に難くない。隻脚となつたことの生活上の多大の不便苦痛、一生を身体障害者として過さねばならないことの苦痛に思いを至すときその精神的苦痛は実に甚大であり、これを慰藉するに少くとも金五〇〇万円を要するものと認むべきである。

従つて、原告の本件交通事故に起因する右大腿切断による慰藉料は合計金六五〇万円ということとなる。

しかるところ、原告は自動車損害賠償責任保険から後遺症補償として金三四三万円の支払を受けた旨自認し、これを右慰藉料のうちへ充当する旨主張しているので、慰藉料の残額は金三〇七万円となる。

以上1ないし4の損害は合計金一九八三万〇六七一円となる。

ところで、前記一の末尾において述べたように本件交通事故の発生については原告にも過失があるものといわざるを得ないから、これを斟酌するときは原告の損害賠償を求め得べき額は金一六〇〇万円と定めるのが相当である(過失の割合を凡そ原告を二、被告山口を八とみたもの)。

5  弁護士費用

被告らが任意に本件交通事故による損害賠償請求に応ぜず、原告は被告らを相手方として熱海簡易裁判所に調停の申立をしたがこれも不調となり、遂に弁護士に委任して本件訴訟を提起するに至つたことは原告と被告小坂との間では争いがなく、原告と被告山口との間では本件弁論の全趣旨によりこれを認めることができる。そうとすると、被告らは原告が本件訴訟を提起するについて弁護士に支払うことを相当とする費用についてはこれを不当抗争による損害として支払の責に任ずべきであるといわなければならない。

しかして、本件訴訟が単純な交通事故ではなく、医療上の過誤を最も肝要な問題としていること、その他本件審理の経過等諸般の事情を考えあわせると、本件について原告が弁護士に支払うべき費用は金一〇〇万円を以て相当とすべきである。

五  以上説示のとおりであるから、被告小坂及び被告山口は原告に対し事故による損害賠償額金一六〇〇万円及び弁護士費用金一〇〇万円合計金一七〇〇万円並びにうち弁護士費用を除く金一六〇〇万円に対する本件交通事故の日の翌日である昭和四七年五月二二日から支払ずみまで民事法定利率年五分による遅延損害金を連帯して支払うべき義務があるというべきである。よつて、原告の被告小坂及び同山口に対する本訴請求を右認定の限度において正当として認容し、その余の請求を失当として棄却することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八九条第九二条第九三条を、仮執行の宣言について同法第一九六条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 鈴木醇一)

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